拉致問題から学ぶこと

何の罪もない人が拉致された!

 

帰国した拉致被害者の蓮池薫さんは、「海岸でデート中、後ろから寄ってきた男(工作員)に、『タバコの火を貸してくれ』と言われ、ライターを差し出したとたん殴られ、気を失って袋に入れられたようだ。気がついたらひとり船の中だった」と話しています。
拉致被害者の人たちは北朝鮮とは何の関係もない普通の日本人です。北朝鮮の勝手な都合でねらわれ、蓮池さんのように力づくだったり、大阪の原敕晁さんのように、だまされて連れ出されたりして、北朝鮮行きの船に乗せられてしまいました。
神戸の有本恵子さんも、留学先のロンドンから帰国の途中、「良い仕事がある」と誘われて拉致されました。

 

宇出津(うしつ)事件は、なぜ伏せられた?

 

昭和52年9月に石川県・宇出津海岸で拉致された久米裕さんの場合、警察は協力者をいったん捕まえたのですが、「もし久米さんが自分の意思で出国したのであれば拉致にはあたらない」と判断したのか、警察の上層部から指示があったのか、最終的には釈放してしまいました。
暗号表など拉致の証拠を押さえていたのに捜査を中止し、メディアの報道もありませんでした。
背景には北朝鮮(朝鮮総聯)に配慮する政治家、北朝鮮や日本国政府におもねるメディアの実態があって、結局うやむやにされたのではないかと考えられています。
もしこのとき、きちんと報道されていたならば、翌月の松本京子さん(鳥取の海岸で拉致)、その2か月後の横田めぐみさん(新潟の海岸で拉致)、そのほか多くの拉致は防げたのではないかといわれています。

 

拉致問題から学ぶこと

 

1.拉致はテロ事件。しかも日本国内に協力者がいる 。

 

拉致の多くは海岸から不法侵入してきた北朝鮮工作員によって実行された、罪なき日本人に対する事件です。

 

〇拉致の目的については以下のようなことが挙げられています。

 

  • 北朝鮮工作員が韓国はじめ各国に容易に潜入するため、日本人になりすます。そのために拉致した人の日本の戸籍を奪い、日本人パスポートを偽造する。
  • 工作員を日本人らしくするため、日本語の教育、日本の習慣、日本人の立ち居振る舞いなどを学ばせる。
  • 特殊な技能をもった人。コンピュータ、印刷工(ニセ札づくりのため)などの技術者、看護師、医師など北朝鮮にとって必要な人材。
  • 上記の拉致した技術者や北朝鮮にいる外国人の結婚相手とするための女性。

 

 

 

 

<国内の協力者>

 

いかに訓練された北朝鮮の工作員といえども、日本国内の状況は知らないため、彼らだけで拉致を実行するのは不可能です。当然日本国内に協力者がいます。

 

拉致1件につき日本国内に少なくとも数人の協力者がいるといわれています。

 

工作員に協力する人を「土台人(どたいじん)」といいます。土台人とは、工作員に目をつけられた在日朝鮮人で、特に親族が北朝鮮にいる人が多いといわれます。北朝鮮にいる人質同然の親族のため、命令には背けないからです。

 

拉致の手順は、まず北朝鮮当局から日本国内にいる工作員あるいは協力者に対して、どんな人物を拉致するかという指示が送られてきます。

 

協力者は、拉致の目的に合った人物を探したり、その人物に接近し、だましたりして決められた場所(海岸など)まで連れていく、といった任務を行います。

 

大阪で拉致され原敕晁さんの場合工作員辛光洙(シン・ガンス)、姜海龍(カン・ヘリョン)、金吉旭(キム・キルウク)が共謀して、鶴橋のラーメン店「宝海楼」に勤めていた原さんを、「よい仕事がある」とだまして、宮崎県の海岸まで連れ出し、待ち合わせた工作員の船に乗せられました。このことは韓国で逮捕された辛光洙(シン・ガンス)が韓国の裁判所で証言しています。

 

神戸の田中実さんの場合阪神「青木」駅前のラーメン店「来大」の店員でしたが、工作組織「洛東江」のメンバーだった張龍雲(チャン・ヨンウン)が、「来大」の店主韓竜大(ハン・ヨンデ)、曹廷楽(チョ・ジョンガリ)と共謀して、田中さんをウィーンに連れ出し、モスクワを経由して北朝鮮へ拉致したと、張龍雲(故人)自身が手記を残しています。

 

<海外での拉致>

 

神戸の有本恵子さんは、ロンドンへ留学していましたが、19798月に帰国すると家族に手紙を出した後、消息を絶ちました。

 

その後、日航機「よど号」をハイジャックし北朝鮮に行った日本赤軍の柴田泰弘の妻となった八尾恵が、2002年、「私が有本さんをだまして北朝鮮に連れていった」と日本の法廷で証言し、有本さん夫妻の前で土下座して謝りました。

 

松木薫さん・石岡亨さんの拉致も同様で、北朝鮮を賛美する日本人(日本赤軍)が同胞の拉致に協力した例もあるのです。

 

いずれにしても、拉致は人道的犯罪であると同時に卑劣なテロであり、絶対に許すわけにはいきません。日本政府は断固とした決意で国民を取り返す義務があります。

 

 

2.捜査を打ち切った政治の介入

 

宇出津事件のときの捜査中断とおなじように、拉致事件の真相究明をやめさせようとする勢力が日本の政治家のなかにいます。

 

1990年(平成2年)510日、警察は機動隊を含む450人の態勢で、朝鮮総聯(後述)への家宅捜索を予定していましたが、前日になって警察庁の幹部が捜査員に「いろいろあって捜査は打ち切る」と通告しました。これは田口八重子さん(拉致され大韓航空機爆破工作員・金賢姫の日本語教師にされた)の拉致に関連した捜索でした。

 

その年の9月、自民党の金丸信、野中広務、社会党の田辺誠といった政治家が北朝鮮に行き、金日成主席に、戦後賠償と謝罪を約束しましたが、彼らは金日成主席に対し拉致事件について問題提起さえしませんでした。

 

拉致事件に関する警察の捜査を止めさせたのは、こうした政治家の意向が働いたと考えるのが自然ではないでしょうか?

 

有名な話ですが、家族会が北朝鮮へのコメ支援に反対して抗議の声をあげたとき、自民党の田中代議士は、家族のシュプレヒコールを「(家族たちが)吠えている」と、まるでご家族を動物扱いする表現をしました。日朝国交回復(による利権?)しか頭にない政治家からみれば、よほど拉致事件の解決を訴える家族の存在が迷惑だったのでしょう。最初から解決する気などなく、むしろ邪魔をしていたといえます。

 

 

3.日本は本当に平和な国か

 

憲法第9条によって、日本は平和でよい国になったといわれます。はたしてそうでしょうか?

 

拉致された被害者は、生きる希望と自由を奪われ、家族とは電話で話すことも、ハガキ1枚出すことも許されません。何の罪もないのに、被害者とそのご家族は、ごく普通の幸せな家庭生活を奪われてしまいました。

 

北朝鮮の工作員が今も暗躍(あんやく)する日本は、本当に平和な国なのでしょうか?

 

日本にはスパイを取り締まる法律がないため、拉致工作員や拉致協力者からみれば日本はスパイ天国となっています。

 

 

4.今も、本気で取り組んでいるとはいえない政府

 

安倍首相は、「拉致問題の解決は私の内閣の最重要課題だ」と言いましたが、二度目の政権を取ってからもすでに約8年が過ぎました。この間、北朝鮮との交渉で「ストックホルム合意」という文書を取り交わしましたが、結局北朝鮮から拉致被害者の情報ひとつ取れていません。

 

「拉致問題対策本部」は作りましたが、担当大臣には拉致問題以外に5つの仕事を兼務させ、北朝鮮との交渉は外務省まかせです。外務省の役人は、何の成果をあげなくても2年も経てば、さっさと他の部署に栄転していきます。

 

国家の指令によって、工作員たちが命がけで日本に侵入し、日本人を拉致していく北朝鮮と比べれば、日本政府、役人たちの取り組み方がいかに甘いかおわかりだと思います。

 

私たちは、生命と安全を守ってくれるからこそ、国に税金を納めているのです。

 

安倍内閣には、あらためて強く拉致被害者の救出を実現するように求めましょう。

 

 

5.今の日本に工作員はたくさんいる 

 

日本のなかには朝鮮総聯(ちょうせんそうれん、在日本朝鮮人総聯合会)という組織があります。北朝鮮の指導者に忠誠を誓い、北朝鮮のために活動する団体で、この団体は破壊活動防止法という法律によって「過去に暴力主義的破壊活動を行い*、将来もその恐れのある団体」に指定されていることから、公安調査庁の調査対象団体となっています。公安調査庁から、平成27年現在、朝鮮総聯には約7万人の会員がいると発表されています。

 

(参考)阪神教育事件:在日朝鮮人と日本共産党による民族教育闘争、大規模テロ、逮捕監禁・騒乱事件で、日本国憲法下で唯一の非常事態宣言が布告されました。

 

朝鮮総聯自身は当然拉致との関りを認めてはいませんが、影響下にある朝鮮大学校のエリートたちが工作員に選ばれているともいわれています。

 

最近、「朝鮮総聯」と「拉致」のつながりで重大な事実が明らかになりました。

「新潮45」平成293月号に掲載された福田ますみ氏の記事によると、北朝鮮の核開発への協力が疑われている、現京都大学原子炉実験所のピョンチョルホ准教授(元は北朝鮮戸籍であったが現在は韓国籍)は、田中実さんを拉致した工作機関「洛東江」の中心メンバー、曹廷楽(チョ・ジョンガリ)の娘と結婚しているというのです。ピョン准教授は、朝鮮総聯傘下の「在日本朝鮮人科学技術協会(科協)のメンバーです。

 

大事なことは、今も工作員や、北朝鮮のために尽くす人が日本にたくさん存在しているということです。このことはぜひ知ってください。私たちがこのまま拉致問題への関心をなくしてしまえば、ふたたび拉致被害者を生んでしまうことにつながってしまいます。明日拉致されるのは「あなた」かもしれないのです。

 

日本には工作員(スパイ)を取り締まる法律がありません。宇出津事件(久米裕さんの拉致)についても、拉致協力者から暗号表、乱数表を押収しましたが、外国人登録法違反という微罪(軽い罪)でしか逮捕できず、それも起訴猶予で釈放してしまいました。

 

政府、国会に対して、日本人を守るための必要な法整備をするよう求めていくことも重要です。

 

 

6.拉致問題を語り継ごう

 

もし、あなたの子や孫や兄弟が、あるいは親戚や親しい友人が40年以上も北朝鮮に捕われているとしたら、どうされますか?

もし、あなた自身が北朝鮮に狙われているとしたら、どうされますか?

 

 

拉致事件、拉致問題は決して他人事(ひとごと)ではないのです。

 

未来を生きる人たちにぜひ知ってもらいたいのです。

 

その恐ろしさを理解したら、勇気をもってまわりに伝えてください。

 

それが拉致被害者の無念に応えることなのです。

 

そして、北朝鮮に新たな拉致を思いとどまらせることになるのです。

 

 

Q.大阪ブルーリボンの会の活動は?

 

毎月、街頭での署名活動、大阪・中之島まつりでのブース開設、講演会、集会やデモの開催、路上ライブの支援などを中心に行っております。

 

大阪府内の自治体との連携も重視しており、自治体の人権問題啓発事業への協力も行っています。

 

また、拉致問題啓発の楽曲制作も行っています。

 

  • 山口采希 「空と海の向こう」、「願いの色、灯りをともせば」
  • 大阪ブルーリボンの会 「めぐみ~愛しき我が娘(こ)」

 

活動から生まれたこれらの曲は、当会のホームページから、Youtubeでご覧いただけます。

 

政府拉致問題対策本部のホームページ「民間の取組み」のページでも紹介されています。

 

http://www.rachi.go.jp/jp/minkan/index.html

 

 

 

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