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2020-09-16 14:01:00

828日午後、安倍首相が突然持病の悪化による辞任を表明した。拉致問題については「解決できず痛恨の極み」と声を振り絞るように語った。この思いに偽りはなく、この日の会見で一番つらい表情だったと思う。拉致は自分しかできないと考えていただけにさぞ無念だっただろう。78カ月という最長政権、本当にお疲れさまでしたと申し上げる。

 

 
ご家族も、有本明弘さん「一番信頼していた。辞めるのは早すぎる。最後までやり遂げてほしかった」、増元照明さん「拉致問題を解決できるのは安倍さん以外に今の日本にいない」、横田早紀江さん「本当に頑張っていただいた。悲しく、残念」など、それぞれ思いを語っておられる。いきなり最後の望みの綱を絶たれた思いであることは想像に難くない。

 


 17年余り救出を訴えてきた私たちは、この事態を冷静に受け止めたいと思う。拉致に対処できるのは安倍さんだけという考え方自体正しかったのか。安倍政権がとってきた基本戦略「対話と圧力」「拉致・核・ミサイルの包括的解決」「国際連携での解決」等々の問題点については、これまでも都度疑問を呈してきた。一昨年あたりからは民間支援団体のトップが誘導したためかどうか真相は知らないが、家族会と政府が口を揃えて「全拉致被害者一括帰国」という、もし北朝鮮が急に体制が変わって協力的になったとしても、どう対応すればいいのか分からないような訴えを掲げてきた。日朝とも、どっちもどっちになってしまった。

 

 

ウクライナ出身の政治学者であるグレンコ・アンドリー氏は、今の体制で北朝鮮が動くときは、「大金を得られる場合」か、「金正恩の命が危ないと恐れる場合」だけであり、大金を与えることは、北朝鮮をますます横暴にし、新たな犯罪を行わせることになる。トップに身の危険を感じさせるためには、ピョンヤンの金一族が眠る宮殿を限定空爆するとともに、トップの居場所をこちらは把握している、と伝えてやることだ。そうすれば彼は動揺して日本との交渉に応じてくる・・・。やはりそれしかないと、安倍政権の7年余で、真摯な日本人は思い知ったのではないだろうか。

 


 安倍政権が実現できなかったことをやるには、次期政権は北朝鮮との交渉を止め、順序を入れ替えて、まず、自国民を救出するためと、今後(拉致されないよう)国民を守るために、自衛隊の軍事力行使を可能にする憲法改正が必要だと国民を説得して一日も早く実現する。(もちろんアンドリー氏だけが言っているわけではなく、当会が行った昨年の国会議員アンケートの回答の中にも、まじめな議員は憲法改正が先だと答えている)

 


 本気でやるなら3年あれば出来るのではないか。この真の闘いをやるしかない。それでは命がもたないとご家族から言われたら、安倍政権がちょっと長すぎたから、とお答えするしかないし、もし国民投票で改正が成立しなかったとしても、それは日本国民の思考レベルの故であり、次期首相は、初めて本気で憲法改正に取り組んだという立派な「レガシー」を残せるのではないか。

 

 

令和2年8月29日     大阪ブルーリボンの会

 

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